金利が上がる=物価が上がる。TOPIXはそれ以上に上がるのか

前回の記事で見た「失敗3(最悪複合)」シナリオ——金利急騰と市場低迷が同時に起きるケース——は、決して特殊な想定ではない。「金利が上がるということは物価が上がっている。TOPIXはそれ以上に上がるのか」という問いには、時間軸によって答えが変わる、というのが実証的に妥当な整理になる。

短中期:割引率の上昇が株価の重しになる

金利上昇は将来の企業収益を現在価値に割り引く際の割引率を引き上げるため、株価のバリュエーション(PER)を圧縮する方向に働く。日銀が利上げを続けている局面では、この効果がむしろ株価の逆風になりやすい。

前回記事の「失敗3(最悪複合)」シナリオは、まさにこの「金利急騰と株式の逆風が重なる」状況を再現したものだった。

長期:名目成長への転嫁がインフレヘッジになる

物価上昇局面では企業も価格転嫁を進めるため、売上・利益は名目ベースで成長しやすく、株式は歴史的に見てインフレヘッジとして機能してきた。

TOPIX(配当込み)の年率平均リターンは、1949年からの約77年間では年率およそ7%だが、低成長・低インフレが続いた直近20年では年率およそ4%にとどまる。

つまり「物価も金利も低いまま」だった期間の実績をそのまま将来に当てはめるのは楽観的すぎるし、逆に「これから物価が上がるからTOPIXも同じだけ上がる」と単純に考えるのも短絡的、というのが正確な理解になる。

読み取れること

「金利が上がる=物価が上がっている」自体は正しい。しかし「TOPIXがそれ以上に上がるか」はno寄り(短中期)とyes寄り(長期)の両方が正しく、投資の時間軸を10年単位で取れるかどうかが結論を分ける。

住宅ローンの返済期間(本シリーズでは35年)は本来この長期の時間軸と相性がよい。しかし完済間際・資金が必要になる直前の数年間だけは、短中期のリスクにさらされているという点を忘れないほうがよい(前回記事の「失敗2:終盤暴落型」がこれに当たる)。

まとめ

  • 金利上昇の初期〜中期は、株価にとってむしろ逆風になりやすい
  • 物価上昇に対する株式の優位性は、10年以上の長期で見て初めて期待できる
  • 住宅ローンの完済間際・資金が必要な直前の数年は、短中期の逆風リスクを踏まえた資産配分の見直しを検討する

次回はシリーズ最終回として、ここまでの検証を踏まえた結論と、実践チェックリストをまとめる。

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