変動金利はどこまで上がったら損になる?シナリオ別シミュレーションで検証

前回の記事では、2026年7月時点の変動金利とフラット35の金利差が約2.2%ポイントあることを確認した。この記事では「その差が今後どこまで縮まれば、変動金利が固定より不利になるのか」を、実際の数字で検証する。借入条件はシリーズ共通のモデルケース(4,000万円・35年・元利均等返済)を使う。

理論上の逆転点:35年間ずっと一定なら年3.14%

もし変動金利が35年間ずっと一定だったとしたら、その一定値が年3.140%を超えた時点で固定より不利になる。このモデルケースでは、フラット35の金利(3.14%)そのものが理論上の境界線になる。

ただし変動金利は一定ではなく時間とともに動く。「平均でどこまで上がったら危ないのか」を確かめるには、具体的な金利上昇の道筋を置いてシミュレーションする必要がある。

4つの金利上昇シナリオ

2026年7月の変動金利(年0.90%)を出発点に、4つの金利上昇シナリオを置いた。

  • シナリオA(緩やかな正常化):0.9%→1.7%まで15年かけて段階的に上昇
  • シナリオD(高止まり長期化):0.9%を10年間維持したのち2.5%へ一段上昇
  • シナリオB(日銀想定路線):中立金利2%程度を目指し、0.9%→2.3%まで10年で段階上昇
  • シナリオC(急速利上げ):インフレが再燃し、0.9%→3.2%まで10年で急上昇
シナリオ 最終適用金利 35年間の総返済額 固定(3.14%)との差
固定(フラット35) 3.14% 6,597万円
A:緩やかな正常化 1.70% 5,020万円 +1,578万円
D:高止まり長期化 2.50% 5,347万円 +1,251万円
B:日銀想定路線 2.30% 5,589万円 +1,008万円
C:急速利上げ 3.20% 6,259万円 +339万円

読み取れること

日銀が公言する「中立金利1.5〜2%程度」までの利上げなら、変動金利は総返済額で固定にはっきり勝つ。しかしインフレが再燃し3%台まで急騰するシナリオ(C)では、差額はわずか339万円まで縮む。金利がさらに上振れて平均3.14%を超え続ければ、逆転も現実にありうる。

「変動が有利」というのは、今の金利差(約2.2%ポイント)を前提にした条件付きの結論であって、絶対的な法則ではない。借入時点の金利差が小さいほど、この逆転リスクは大きくなる点も覚えておきたい。

実務上できる備え

  • 「変動一択」と決め打ちせず、金利が想定を超えて上昇した場合に固定への借り換えを検討する基準をあらかじめ決めておく
  • 5年ルール・125%ルールの内側で未払利息が発生していないか、年1回は金融機関の返済予定表で確認する
  • 金利上昇局面では、余裕資金を繰り上げ返済に回す選択肢も同時に持っておく(次回・次々回の記事で詳しく検証する)

次回は、繰り上げ返済とTOPIX投資、どちらが得かを100万円のケースで比較する。

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