住宅ローンを組むとき、多くの人が最初に悩むのが固定金利か変動金利かという選択だ。この記事ではまず前提となる2026年7月時点の金利環境を整理したうえで、両者のメリット・デメリットを比較する。
2026年7月時点の金利環境:利上げサイクルの真っ只中
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除して以降、断続的に利上げを続けている。2025年12月に政策金利を0.75%に、2026年6月には1.0%まで引き上げた。1.0%という水準は1995年以来31年ぶりの高水準にあたる。
市場では年内から2027年にかけてさらなる利上げが観測されており、着地点として1.5〜2.0%程度の「中立金利」が意識されている。つまり今は、住宅ローンを検討するうえで利上げサイクルの真っ只中にあるという時代認識がまず重要になる。
| 金利タイプ | 2026年7月時点の目安 |
|---|---|
| 変動金利(都市銀行中央値) | 年0.99% |
| 変動金利(ネット銀行) | 年0.90%前後 |
| フラット35(全期間固定・買取型) | 年3.14% |
| 日銀政策金利(2026年6月時点) | 1.0% |
変動金利のメリット・デメリット
借入4,000万円・35年・元利均等返済というモデルケースで計算すると、変動金利(年0.90%)の月々返済額は約11.1万円、フラット35(年3.14%)は約15.7万円。月々の差は約4.6万円にのぼる。
- 当初の返済負担が軽い。同条件なら月々の差は約4.6万円
- 半年ごとに金利が見直されるが、5年間は返済額が変わらない「5年ルール」がある
- 見直し後も直前の返済額の125%を超えない「125%ルール」があるが、超過分は未払利息として残高に繰り込まれる
- 将来の家計計画が立てにくく、金利急騰時には総返済額が固定を上回るリスクを負う
固定金利(フラット35)のメリット・デメリット
- 完済まで返済額が変わらず、家計設計がしやすい
- 金利上昇リスクを負わない代わりに、当初金利が高い
- 金利が上がらなければ、変動より多く払い続けることになる(機会損失)
- 審査金利や団体信用生命保険の条件は金融機関ごとに差があり、単純比較には注意が必要
「5年ルール」「125%ルール」は落とし穴にもなる
この2つのルールは、変動金利で借りた場合に毎月の返済額が急に跳ね上がるショックを抑える仕組みだ。しかし、金利が払いきれない分は消えるわけではなく、未払利息として元金に上乗せされる形で残高に繰り込まれる。
つまりこの2つのルールは、家計へのショックを見えにくい形で先送りしているだけで、金利が急騰すれば総支払額そのものが増えるリスクは消えていない。次回の記事で使うシミュレーションでは、このルールを考慮しない単純化したモデル(毎年、その時点の金利で残存期間の返済額を再計算する)を使っている。実際の変動ローンより短期的な負担増は緩やかに、しかし総支払額への影響は同程度に出る、と理解してほしい。
まとめ:固定と変動、どちらを選ぶかの前提条件
2026年7月時点、変動金利とフラット35の金利差は約2.2%ポイントある。この差が大きいほど変動金利は有利になりやすいが、日銀が利上げサイクルの途中にある今は、この差が今後縮小していく可能性があるという点を踏まえておく必要がある。
次回は、実際に金利がどこまで上がったら固定より不利になるのかを、複数のシナリオでシミュレーションする。
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